2005年06月24日

「キレイ」なもの。

050623-01-s
今日は、工房の校外授業のような感じで、熔接器を始めとした各種金属加工機器の展示会へ行ってきました。

最新型の熔接器を実際に試してみては、その精度や熔接痕の「キレイ」さやスパッター(熔接時に飛び散る鉄の玉)の少なさに驚いたり。
自動的に円をカットできるガス熔断器にも驚き。その切り口のあまりの「キレイ」さに、びっくり。
「あ〜、こんな機械、欲しいな〜」と思いつつも、そしてまた、最新機器のお値段の方にも、びっくり




でも、ふと思ってしまいました。
果たして、これから目指すべき工芸作品に、そんな「キレイ」さは、本当に必要なのか?本当に意味のあることなのか?と・・・。


※ちなみに、本文と画像は、あんまり関係ありません。



「キレイ」さにも、いくつかの種類があると思います。
例えば、職人さんの熟練した職人技によって作られる「キレイ」さ。
或いは、極めて工業製品的な「キレイ」さ。
え〜っと、それから・・・(←あんまり思いつきませんでした)。
(※ちなみに、私にとっては、「キレイさ」と「美しさ」は、ニュアンス的にイコールではありません。何と言うか、別の次元の話のような感覚で、使い分けています。)

かつて、(例えば19世紀後半頃など)は、大量生産の工業製品が市場に広まってきたとはいえ、その質はまだまだ悪く、美しさを伴う「キレイ」な仕上がりには、職人の手作業による技術がかかせないものでした。
それからたくさんの歳月が費やされ、各分野でプロジェクトXばりの努力が繰り広げられて、技術革新が著しく進んだ現代。

モノや分野によっては、もはや前述のような「キレイ」さを比較する事すら愚かしいほどになってきています。
そんな中で、「何故、今のこの時代に、手仕事での制作にこだわるのか。」
分かっているつもりでも、常に自分自身に問いかけ続けなければならない事のように、また今日、思ってしまいました。


それから、もうひとつ考えなければならない問題。
それは、近年急速に広まってきた輸入品の存在
例えば、今、身の回りをざっと見回してみても、中国製東南アジア製の製品が、いたるところに溢れています。

そうした国々で、日本とは比較にならないほど安い人件費でコストを抑え、大量に生産された製品。
それらは輸送費などを含めても、国内で生産するよりも安価な値段で販売する事ができ、熾烈な価格競争に打ち勝ち、国産品をどんどん駆逐していっています。

金属加工の分野でも例外ではなく。
製品としても、輸入雑貨屋には、驚くほど安価なアイアンの雑貨が並び。
以前ご紹介した、イタリアの伝統的なロートアイアンの部品メーカーも、本社はイタリアながら、今ではその材料のほとんどは、東南アジアなどで生産されているものだそうです。


だから、いくら「キレイ」に仕上がっていたとしても。それらと同じようなものを、今の日本で手仕事によって制作する事は、それこそ「あんまり意味がないんじゃないか」と、私は個人的に思っています。
同様に、工業製品に可能な(性能の良い工業機器を使えば、ある程度従事している人なら誰にでも作る事ができるような)「キレイ」さを、わざわざ手仕事でやろうとすることも・・・。


では、いかにも手仕事でやりましたよ、的な、ある意味ミエミエの加工にとどめておけばいいのか?といえば、それも私的には違うような気もしますし。
それなら、工業的では不可能なほど手の込んだ職人技を駆使して、恐ろしく手間をかけて究極の一品を仕上げれば対抗できるのか?と言えば、それはそれで高価になりすぎて、私の望むような作品制作のあり方や、お客様との関係とはかけ離れてしまうでしょう。


極めて高い精度の工業技術を駆使した製品。あるいは、価格競争では圧倒的に有利な輸入品。
消費者の立場からすれば、嬉しい事この上ない、今の日本の市場に溢れる、それらの製品。けれども、生産者の立場からすれば、それらに対抗する術を見出していかなければ、生き残れないでしょう。

例えば、それらとはまったく違う新しいものを創り上げていくか。
それらのさらに一歩も二歩も先に、プラスアルファの何かを常に付け加えていくか。
「個性」という錦の御旗のもとに、独自の路線を追求していくか。
あるいは、原点に戻るか。原点と、現在を繋ぐものを紡ぎだしていくか。
それとも・・・。


安易に「手仕事で作りました」、というだけでは、もはや、そこにぬくもりがあるだとか、本物のよさがあるとか、味があるなどとは、消費者も思ってくれなくなった時代、なのかもしれません。
だからこそ、「今、手仕事でその作品(製品)を作る意味は何なのか」ということを、改めて、そして常に、考えていきたいな、と思います。

まぁ、「そういう事をいろいろ言う前に、『キレイ』なものが作れるくらい、技術を上げなさい」、って、今の自分では言われてしまうのでしょうが・・・。


posted by Metal_NEKO at 00:28| Comment(0) | TrackBack(0) | Metal -NEKO- Works | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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