2005年08月21日

向かい合う、ということ。

前回の記事からの続きで、山に登る事の意味、というような話題。


いきなりのっけから少し話が逸れそうですが、本質的に同じかもしれないと思ったのが、「物を作る」ということ。
家具作家を目指していらっしゃる淡路さんが、ご自身のblogで、 「手道具」にこだわる事の是非についての記事を書かれていましたが、そこに、「手作業をすると、材料と会話をする事になります」とのコメントが寄せられていて、とても興味深く思えました。

山に登る、ということも、それとかなり近いものがあるんじゃないか・・・、と。
(物作り自体に関しての言及は、今回はひとまず置いておくとして、純粋に山登り、というか精神的な話にとどめておきます。)

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例えば、今なら車やロープウェー、リフトなどで、すぐに楽に頂上付近まで行けたりする山もありますし、お金に糸目をつけなければ、ヘリコプターでいきなり山頂に降り立つこともできるかもしれません。
ヘリはさすがに一般人はやっちゃいけないのかもしれませんが。と言うよりも何よりも、山登りが好きな人から言わせれば、そちらの方が「まったく意味がない」行為でしょうね。)
その方が、時間も短縮できるし、そんなに疲れないし、効率的。(ちなみに、富士山は5合目まで車で行けるので、我々も活用しました。まぁそれでも、結局12時間かかってしまいましたが。)

或いは、景色をとりあえず見ておきたいだけなら、TVや雑誌・写真集やネットでも、自分の部屋にいながらにして、楽しむ(?)ことができるでしょうね。


けれども何というか・・・。

その途上で受け止められるものも、感じ取る事も。自分の感覚では全然違うんですよね。
例え、前者のように文明の利器を活用して、短時間で比較的楽をしても、自分の足で長い時間をかけて苦労しても、同じ景色が見えるのだとしても。山頂に辿り着く、という、結果だけ見たら一見同じように見えるようなことであっても。

そこで感じる美しさも、厳しさも。感動も、感情も。

(辛ければその分感動する、価値がある、とは決して思いませんが。
同じ景色を見ても、人によって感じ方は様々ですし、同じような経験をしても、捉え方もそれぞれ。同じ結果に辿り着いたとしても、そこから「得る」ものは同じではない。
つまりは、何を大切に思い、何を感じ取り、何を「得る(受け止める)」のか、感受性や価値観、目的の違いということにもなってしまうので、やはり一概には何とも言えませんが、ここはまぁ、私なりの価値観、ということで。
ところで、もともとこういう性格だから山登りが好きになったのか、山登りを続けていくうちにこういう性格になったのかは、自分でもよく分かりません。が、たぶんどちらも正しいのでしょう。)



かつて多くの山は、神聖なものでした。
今でも山頂には祠が建てられていたり、神社があったり。
霊峰と崇められた山々では、多くの修験者達が駆け巡る修業の地でもありました。

広大で奥深い「世界」の中に己の身を置くことで、その世界そのものと向かい合い、己という一人の人間と向かい合う。

ただひたすらに向かい合う、ということ。

己の足元を見据え、一歩一歩踏みしめていく大地。傍らに咲く花や逞しく生きる命。
突然の雨に打たれ、駆け抜けていく雲の先に、差し込む光。
深い霧が通り過ぎ、一気に目の前に広がる世界。

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様々に変化し、移ろう世界の姿に、己とは何か、世界とは何かを問い掛けられているようで、そこに自らの答えを探し求める様は、己の内での対話、といってもいいでしょう。
「悟りを開く」、というと仏教じみて大仰ですが、つまるところは、己を知り、世界を知る、ということに繋がるからこそ、「修業」だったのでしょう。



なぜ、人は挑み続けるのか。
「そこに世界があり、ここに自分がいるから。」
己を知り、世界を知るために。
「今」を越え、「果て」を越えていくために。

己自身に挑む事と、世界に挑む事。己を知り、世界を知ること。
両者がほぼ同義であるように、密接に関わりあっているとすれば、それは、世界の中に自分がいて、自分の中に世界がある、という感覚から来るものかもしれません。(だいぶ抽象的な言葉ではありますが。)

無名の無数の冒険家たちの、たゆまぬ日々の冒険によって、
きっと、そこに、今までの、そしてこれからの「進歩」があるのでしょう。

そして私も・・・。
せめて精神だけでも、冒険家でありたいと思いますが・・・。


「そこに『高み』があるのなら。」

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明日館での卒業制作展まで、あと166日!

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posted by Metal_NEKO at 02:01| Comment(0) | TrackBack(0) | 微笑みの後に渡る橋 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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